ドア・イン・ザ・フェイス(譲歩の返報性)【返報性の原理】

今回は、返報性を応用したテクニックについてご紹介します。

「譲歩の返報性〈ドア・イン・ザ・フェイス〉」

おさらいになりますが、返報性の原理とは
「他人がこちらに何らかの恩恵を施したら似たような形でそのお返しをしてしまう」
というものです。

この返報性の原理があるために、親切や贈り物、招待などを受けると
そうした恩恵を与えてくれた人にお返しをせずにはいられなくなるのです。

このように「もらった恩を返そうとする義務感」を指します。

さて、この返報性は譲歩にも働きます。

たとえば、部下に本社から地方の支社に異動してもらいたいとしましょう。

その場合、「北九州支社に転勤してくれ」と単刀直入に伝えるよりも
より効果的に相手に要求を飲ませるのがドア・イン・ザ・フェイスです。

それでは具体的な例をあげてみましょう。

上司 「A君、まだ正式じゃないんだが、
    わが社として、これから東南アジアへのテコ入れが必要な時期なんでね。
    一応、覚悟だけしておいてくれ」

部下 「えっ…」

部下のAさんはこれを聞いて顔面蒼白。
結婚を間近に控え、国内転勤だって正直ゴメンという状況。

眠れぬ夜が続いたAさん。

そして次の週、上司がニコニコしながらやってきて一言。

上司 「きのうの会議で正式に決定したよ。
    北九州支社に行ってもらうことになったから頼んだよ」

部下 「…あ、はい!」

Aさんは東南アジアへの転勤を覚悟していただけに、
国内転勤で済んだことに、内心ホッとしているかも知れません。

相手に「貸し」を作る

ポイントは、Aさんは海外転勤もましてや国内転勤さえも望んでいないのに
拒否から承諾へと行動を変化させた、という点です。

アメリカの心理学者ロバート・B・チャルディーニは以下の実験をしました。

あるグループにはドア・イン・ザ・フェイスを使い
「3年間にわたり1週間に3時間、衛生局で、無償で働いてください」と
最初に無理なお願いをします。

次に、本来の要求である
「1日だけ衛生局で、無償で働いてください」と要求を引き下げた場合は
74%の人が承諾しました。

もう一方のグループには、「1日だけ衛生局で、無償で働いてください」と、
本来の要求を単刀直入にした結果、29%の人が承諾しました。

そして、前者の被験者でYESと言った人の85%(全体の62%)が
後者の被験者でYESと言った人の50%(全体の14%)が
「実際に」ボランティアとして足を運んでくれる結果となりました。

普通に頼んだ場合の4倍以上の人が、実際に承諾し行動してくれるなんて、
ドア・イン・ザ・フェイス、おそるべし」ですね…。

なぜか?

最初に出された面倒な依頼があったからこそ、
「1回だけならいいか」と受け入れてしまったのでしょう。

一度断ったとき、なんとなく相手に対する罪悪感が生まれ
心の中では相手に「借り」を感じている状態です。

そのため、バランスをとろうとして
簡単な要求ならYESと言ってしまう心理状態になっていると考えられます。

ザ・心理テクニック

あなたの周りに心理的な「貸し」をつくってくる人はいませんか?

いきなり無茶な要求を言ってきたと思ったら
次の瞬間には「それなら力になってあげられそう…」と思ってしまう
ほどよい要求を提示してくる、あの人です。

不釣りあいな取引になっていないか、一度、深呼吸して考えてみましょう。



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